月ノ蝶、赤縄を結ぶ



「その前に・・・茜は俺のこと好き?」

「すき!」

「どれくらい?」

「いーっぱいすき!」



 腕をめいいっぱい使って大きな円を描いた。

 それを見た紅くんは伏し目がちに笑った。

 紅くんが嬉しいときにする笑い方だ。

 紅くんが嬉しいと私も嬉しい。



「ありがとう。俺も茜だけが好き。だから・・・」



 そよ風でカーテンが舞った。

 まるでウエディングベールのようだった。



「茜、大きくなったら俺と結婚しよう」



 紅くんの言葉が、静かに心に響いた。



「紅くんのおよめさんになれるの?」

「そうだよ」

「する!けっこんしたい!」



 前からもし紅くんのお嫁さんになったら・・・と考えていたから即答した。
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