月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 紅くんも同じこと考えていたんだ。

 嬉しい。

 心がぽかぽかするし、胸がきゅぅっと鳴いた。

 紅くんは私の反応にまた笑い、ごそっとポケットから何かを取り出した。



「良かった。じゃあ大きくなったら迎えに行くから、待ってて。これは約束の印だよ」

「ゆびわだ!キレ〜」



 紅くんが指輪を私の指にはめてくれた。

 月光に照らすと赤色の宝石がキラキラと瞬く。

 それに魅入っていると、紅くんの唇が私のおでこに近づいた。



「またね、茜」

「え・・・─────?」



 おでこに柔らかいものがあたった。


 私、今、紅くんに・・・・・・。


 ぼうっと熱に浮かされ、頭の中が漂白されていく。

 柔らかい粘膜の感触に全神経が集中した。


 そして落ち着きを取り戻し前を見たときには、誰もいなくなっていた。


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