月ノ蝶、赤縄を結ぶ
「紅くん・・・・・・?」
呼びかけても反応がない。
もしかしたらあれらの出来事は私の理想を詰め込んだ夢なのかと思ったけれど、指輪はきちんとはめられていた。
どうしようもなく胸騒ぎがする。
まるで紅くんが夜に溶けてしまったかように跡形もなくいなくなった。
「またね」って言ってたし、きっと明日になったら会えるよね?
「誕生日おめでとう」って言ってお祝いしてくれるよね・・・?
考えれば考えるほど分からなくなって、その日はろくに眠れなかった。
私の胸騒ぎは当たり、その日を境に、紅くんは私の前から完全に姿を消した。
それから紅くんに一度も会うことがないまま、私は高校に入学した。