月ノ蝶、赤縄を結ぶ
「それにあなたは自分が思っているより私のこと好きじゃないよ」
「そんなのお前に分かんのかよ」
「うん」
私は私のことが大好きな人を知っている。
紅くんならきっと、自分のことを好きじゃない相手に告白なんてしない。
気持ちを伝えることは、それが何であれ相手に負担を強いることだから。
もちろんこれが全てではないと思う。
でも少なくとも私はこれが好きの形だと考えている。
鈴木真那は少し考える素振りを見せたあと、おもむろに口を開いた。
「それっていっつも持ち歩いているおもちゃの指輪と関係あんの?」
「・・・気づいてたの?」
私はおもちゃの指輪にネックレスチェーンを通して肌身離さず首にかけている。
ネックレスを着けていることは知られていても指輪がついていることは知られていないと思っていたので驚いた。
「そりゃな。もしかして大人になったら結婚しようとかそんな感じ?」
「そう」