月ノ蝶、赤縄を結ぶ



「こわくはなかったよ。でもビックリした。紅くん強いんだね」

「そう?」

「うん!とーっても!」

「そっか」



 紅くんはきょろっと周りを見渡してもう一度私を見た。



「人目につくとマズイからもう帰りな」

「何がマズイの?まだ紅くんといっしょにいたい!」



 離れないと意思表示をするように強く脚に巻きついた。



「俺の家がちょっと複雑でね」

「わたしのお家もフクザツだと思う」

「・・・・・・」



 紅くんは静かに私を見つめ直した。

 急に家が複雑だって言われたらなんでって思うよね。戸惑うよね。ちゃんと教えてあげないと。



「お母さんがいろんな子のお父さんとなかよしなの」

「茜も大変だね。でもこのままだとほんと困るから・・・そうだ」
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