悪魔と涙と甘い恋。

「だからもう良いの」って。

吹っ切れたように笑ってた。



そして、それがスッと力強い眼差しに変わる。


「後は自分自身を守るだけ。意志を強く持って、αなんかには負けてらんないって」

「……、」

「ねぇ〜どうして羽瑠ちゃんが泣いてるの」



衣吹さん、どんなに辛かっただろうか。

憧れてた先輩に無理やりされて。

罰を受けたからって、きっとその先輩とは、もう昔のような仲には戻れない。


先輩に裏切られて、衣吹さんの為に動こうとした桜夜組も止めて……。


きっと辛かったはず。



「羽瑠ちゃんは優しいね」

「んーん……」


そんなことないって言いたかったけど、上手く喋れなくて。

衣吹さんの方がずっと優しい。


それに……。

ズズッと鼻水を啜って、涙も一緒に引っ込める。


< 106 / 487 >

この作品をシェア

pagetop