悪魔と涙と甘い恋。
あ、そういえば……と、思い出す。
たしかαって言ってたっけ。
「大丈夫だよ。今日は友達と来てるから」
にっこり微笑む弟くんに、ソワソワしていた羽瑠ちゃんが落ち着きを取り戻す。
んー……。
羽瑠ちゃんのそれは、αの、弟くんに対してだと思ってたけどお義母さんに対してかぁ……。
でも一応、神楽を呼ぼ。
弟くんもいるし。
キョロッと辺りを見渡すと、神楽はすぐに姿を現してくれる。
私が神楽を探してるんだって気付いて、いつしかそれが合図になった。
だから今日もいつもの合図で呼ぼうとしたんだけど。
「あ……」
もうこっちに向かって歩いてるのが見えた。
やっぱり神楽もわかったんだ。
弟くんの前に出た神楽が頭を下げた。
「どうも」
「あ、えっと……」
慌てて頭を下げる弟くんは、少し動揺してるように見える。