悪魔と涙と甘い恋。
30%
「頑張れ」
虐げられたあたしにとって、優しくされればその人が特別な存在になるわけで。
神楽さんを好きになるのに時間なんていらなかった。
例えあたしに向ける優しさが、組長に与えられた任務だとしても。
ピピピピピ───……
眠たい目を擦りながら、パチンと目覚まし時計を止める。
06:00と表示されている目覚まし時計を眺め、ぼんやりと昨日のことを思い出す。
『これやるよ。明日から姐さんの手伝いするんだろ?』
そう言って、神楽さんはあたしにデジタル時計をくれた。
『羽瑠が前に進もうとしてる祝い。頑張れよ』
ポンッとあたしの頭に乗る神楽さんの手が優しくて……あの時、実はドキドキしていた。
この時計、昨日買ったのかな。
とか、
何を考えながら買ったのかな。
って考えると、胸がキュンとして、頭の中が神楽さんでいっぱいになる。