悪魔と涙と甘い恋。

「あの角に座るか」

「はいっ……」


逃げるように、自ら進んで角の席に行く。

そしたら当たり前のようにあたしの隣に神楽さんが座って。


思わずドキッとした。



「ん」


コップとかお箸とか、いろんな物をあたしのところに持って来てくれる神楽さん。


「あ、ありがとうございます」


小さくいただきますをして、白米を口に運ぶ。


……。

何だか、変な感じ。

こんな広い場所でご飯を食べるなんて。



それに……。


チラッと出入り口の方に視線を持っていき、誰かが来るのを見つけると、慌てて目の前の白米に意識を持っていく。

落ち着かないや……。



「おはようございます、神楽さん」

「ああ」

「神楽さん、おはようございます」

「ん」


次から次へと神楽さんに挨拶をする人達に、いちいち肩をビクつかせる。


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