悪魔と涙と甘い恋。

なんとなく、後藤さんの立場上そう答えたのかなって思って。

衣吹さんが腕を引いて歩くけど、あたしは思わず振り返った。


「あ、あとで教えます……！」


そしたら後藤さんがふはっ、と笑ったんだ。

そして、あたし達のことを見送るように手を振る。


「ありがとー」



あれれ？

あたし何か変なこと言った？



「羽瑠ちゃんは優しいね」

「余計なお世話だったかな……？」

「そんなこと無いよ。そー言う人、ウチじゃ誰もいないからびっくりしたんじゃないかな」

「……そうなの？」

「そうそう。良いと思うよ？そー言う純粋なところ」

「………褒めてる？」

「褒めてる褒めてる」


バカにされてる気しかしないけど……。

まぁ良いや。


衣吹さんを信じよう。




長い廊下を歩いて組長の部屋の前。

衣吹さんが口を開いた。