悪魔と涙と甘い恋。
制服でもう1度
♢side 衣吹♢
とある日の昼下がり。
帰宅するなり、私は真っ先に羽瑠ちゃんがいるであろう台所に向かった。
「羽瑠ちゃーーーーん!!!」
「わっ!どうしたの?」
羽瑠ちゃんの他に、数人の幹部とお母さんがこっちを見た。
どうやら後片付けをしているようで、羽瑠ちゃんの腕は泡だらけになっていたんだ。
「お帰りなさい、お嬢。今日は早いお帰りなんですね?」
「うん。午前中までだったからね」
軽い会話を残して、私はスクールバッグを持ったまま羽瑠ちゃんのそばに行く。
「ねぇ羽瑠ちゃん、この後時間ある?連れて行きたい場所があるの!」
「えっと……」
羽瑠ちゃんは目を泳がせた後、目の前の汚れたお皿達を見る。
「あ……、無理っぽい?」
晩御飯とか作らなきゃいけないんだっけ。