悪魔と涙と甘い恋。

母親の愛


「何か悩み事?」

「え?」


朝食の後片付けをしている時。

睦美さんがあたしの顔を覗き込んできた。


「ずっとため息ついてるわよ?」

「えっ……!」


うそ……。

全然気付かなかった。



「どうしたの?」

「えっと……」


そう簡単に口に出せなくて、視線を逸らす。


だけど、頭の中は神楽さんでいっぱいで。

心は十分正直。



この気持ちを言葉にしていいのか。

言葉にしたとして、どう伝えればいいのか……。



今まで好きになった人がいないあたしは、この想いの行き場がわからない。



「ねぇ羽瑠ちゃん、私と一緒にお出かけしない?」

「お出かけ……?」


いつもながら突拍子もないことを言う睦美さんにもう慣れてしまったのか、さほど驚かなくなった。


「ケーキ食べたいなぁって。一緒に行かない?」


ケーキ……。

そう言えば最後に食べたのいつだっけ。


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