悪魔と涙と甘い恋。
ガタンッ。
音がした方に振り向くと、いつの間にか神楽さんが戻ってきてて、少しだけびっくりした。
あたしを見て、神楽さんの視線が衣吹さんに移る。
「何してるんですか」
ベターと机に倒れていた衣吹さんが、神楽さんと見つめ合って数秒。
慌てて身体を起こした。
「べ、別に何にも」
プイッと顔を背ける衣吹さんの様子は明らかにおかしい。
どこか動揺してるような……。
「……」
ほんのり頬をピンクに染める姿を見て、1つの仮説が生まれた。
衣吹さんは実はツンデレなんじゃないかと。
……。
敦雅さんと言い衣吹さんと言い、ツンデレ多いな……?
なんて違うことを考えてると、またスマホのバイブ音が聞こえた。
その瞬間、偶然にも神楽さんと同じタイミングで視線が重なって。
ドキッと胸が跳ねた。
その視線は衣吹さんのもとへ移動しちゃったけど、まだあたしの心臓はドキドキしてる。