悪魔と涙と甘い恋。
「衣吹さんの好きな人って桜夜組の人?」
「え、」
明らかに動揺してるのがわかった。
衣吹さんの瞳が右、左、と泳いで、そのまま斜め下を向く。
「……うん。そうだよ」
やっぱり。
だけど、ここまでは想像していた通り。
……問題は、次だ。
「その好きな人って………」
もし、神楽さんだったら。
衣吹さんと一緒だったら。
そう思うと、聞くのが怖くなって怖気ついてしまう。
だけど……嫌なことから逃げるのはダメだから。
ここで逃げたらずっとモヤモヤしたままでいると思うから。
もう一度覚悟を決めて、口を開いた。
「神楽……さん、ですか?」
「……え?」
「え?」
ポカンとした衣吹さんに、今度はあたしが動揺しそうになる。