悪魔と涙と甘い恋。
「何?しつけぇんだよ」
明らかに不機嫌な敦雅さんを目の前に、怖気ついてしまいそうになる。
だけど……!
「1度の失敗で一生話さないっておかしいです!」
「知ったような口してんじゃねぇよっ!」
バンッッ!!
敦雅さんが思いっきり壁を殴った。
ものすごい音が響き渡って、あたしの心臓はバクバクと苦しいくらいに上下する。
「お前に何がわかんだよ?」
向けられる鋭い視線。
まるで獣のように恐ろしい瞳に、恐怖で動けなくなる。
「この人に命を捧げようって思った矢先、その娘に手を出すんだぜ?」
勢いのまま、自分を嘲笑うかのようにフッと笑い、敦雅さんは俯いた。
「αだからとか、そんなん理由になんねぇだろ……」
その声が震えていた。
……たしかに、Ωだから仕方ないって、どうにもならないことはたくさんあった。