悪魔と涙と甘い恋。

知らないαにどれくらい傷付けられたか。

どれくらい憎んだか。


だけど……!



「もしそれがあたしだったら、敦雅さんのこと嫌いにならないです……!」


感情が高ぶったせいか、涙が溢れた。

泣くつもりなんてなかったのに。



「敦雅さんのこと知ってるから……責めたりしないっ……むしろ……避けられた方が自分のせいだって思って、また自分の性が嫌いになる……」


ポロポロ涙が溢れる。

どうやったら敦雅さんに伝わるかなって。



「……何も知らねぇくせに」


ボソリと敦雅さんの声が聞こえたと思ったら。



「何してんの?」


グッと頭を後ろに持っていかれたのと、上から声が降ってきたのはほぼ同時。



「か、神楽さんっ!」


神楽さんの大きい手があたしの顔を隠す。


ぅわわっ……!


ドキドキする胸を隠しつつ、それから逃れる為に神楽さんの手を掴むと、敦雅さんを捉える視線があまりにも鋭かった。



も、もしかして、敦雅さんに泣かされたと思ってる!?


「ち、違うんです!ちょっと、あたしの気持ちが高ぶりすぎただけで……」


< 327 / 487 >

この作品をシェア

pagetop