悪魔と涙と甘い恋。

胸の内


♢side 柊♢



ベッドに寝転べば、必然的に視界に入る天井をぼんやりと眺めた。




『逃げたら何も変わらないですよっ……!』


あれから何をしても、羽瑠の言葉がずっと頭の中でこだましている。


あ"ーーくそっ!

イライラする。



ゴロッと寝返りを打って視界を変えた。



何なんだよ。

逃げたらって羽瑠も義母から逃げてたんじゃねぇの?


人の事言える立場かよ……!



「……」


逃げてなんかねぇよ……。



チラッと視線を時計の方に持っていく。


昨日の晩、羽瑠が俺の部屋にきて『組長が、明日の10時、客室に来てって言ってました』と、言付けをしてきた。


あんなことがあった後だから、俺の前に姿を現した時は正直驚いた。

もっと気まずくなるかと思ってたから……。


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