悪魔と涙と甘い恋。

台所に向かうと既にみんな集まってて、あたしは慌ててお皿洗いに取り掛かる。



「羽瑠さん遅ーい」

「ずっと居間にいなかった?」

「あ、あはは。すみません」


まさか見られてたなんて。

そう思うと少し恥ずかしくて、苦笑いを溢すしかなかった。



「……」


ちょうど隣に睦美さんがいるから、衣吹さんのこと聞いてみようかな……?


「睦美さん」

「なぁに?」

「衣吹さんって、今日お友達と遊んでるんですか?」

「そんなことは言ってなかったわねぇ。どうしたの?」

「夕飯の時、いなかったので……」

「あら、今日は借りた本を返しに行くことしか聞いてないのに……誰かに呼ばれちゃったのかしら?」


え……?

本を返しに……?


「いつですか?それ」

「お昼頃だったかしら」

「え……」


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