悪魔と涙と甘い恋。
「眠かったら寝てていいよ」
「え……?」
「風呂行ってくるから」
「あ、はいっ……」
去って行く背中を見送って。
完全に姿を消したタイミングであたしはベッドに倒れ込んだ。
今日はいつもと違ってホテルだから?
すぐそばでお風呂に入ってると感じるくらい距離が近いから?
わかんないけど……すごくドキドキする。
サーッとシャワーの音が聞こえてくれば、心臓の動きが一段と加速していく。
だ……だめだめ、こんなの。
想像しなくていいことまでしちゃいそうになって。
シャワーの音をかき消す為に、椅子に座ってドライヤーのスイッチを入れた。
うう……。
ドキドキする……。
どうして?
思考を止めようとすれば無意識に神楽さんの姿を思い浮かべて。
またドキッとするんだ。