悪魔と涙と甘い恋。
「あ、あれ?羽瑠は───」
そこまで言って口を押さえた。
羽瑠の名前出したら見ていたのがバレる。
羽瑠もう寝た?
いつの間にかいなくなってるし。
「煙草吸いに行ってたんじゃねぇの?」
「え、あ、いや……ライターどっかで落としたみたいで……」
ナイス僕!
咄嗟の言い訳が上手い……!
自画自賛しつつも、僕の顔を見つめる神楽さんに変な汗が出る。
神楽さん何でもお見通しだからなぁ。
もしかして嘘がバレてる?
「行くぞ」
トンッと僕の肩を叩く神楽さんに目が点になった。
「え?何処に?」
「ライター俺持ってるから。付き合ってやるって言ってんだよ」
………。
やべ。口元が緩みそう。
それを隠すために片手で覆い、少し俯いた。
「……はいっ」
神楽さんのそー言う所、ほんと尊敬する。
部下を大事にする姿……僕もいつかそう言う立場になったら真似したいなぁって。
ずーっとお供させてくださいね。
兄貴。