悪魔と涙と甘い恋。
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桜夜組の朝


シェードのカーテンから日差しが入り込み、その眩しさから逃れようと寝返りを打つ。


今……何時なんだろう……?


組長からもらったこの部屋。

布団と衣吹さんがくれた服が数枚あるだけで、他は何もない。


窓の外から鳥のさえずりが聞こえて。


むくりと起き上がったあたしは布団を畳んだ。

布団を押し入れに終えば本当に何も無くなって、とても広くなる。



「……」


起きたのには理由がある。

あたしには時間感覚がないのだ。


今が何時なのかも、何日なのかもわからない。


唯一わかるのは神楽さんが朝昼晩、ご飯の時間になったら呼びに来てくれるのと、あとは空の色。

空がオレンジ色に染まれば夕方なんだと知り、暗くなれば夜。そして陽が登れば朝が来たんだと。


……だから朝、いつ神楽さんが呼びに来るかわからないから目が覚めたら起きてなきゃいけない。


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