悪魔と涙と甘い恋。
それぞれの思い
ゴロンと寝返りを打って襖の方をぼんやりと見つめる。
『すぐそこにいるから。何かあったら呼べよ』
目が覚めたあたしに、神楽さんはそう言って部屋を出た。
「……」
抑制剤が効いて今はそんなに苦しくない。
今、何時なんだろ……。
なんとなく手を上に伸ばしてみて、シェードのカーテンから漏れる光と遊ぶ。
明日も薬飲まなきゃ……。
そんなことを考えながらソッと首に触れる。
神楽さんとあんなことしちゃうなんて……。
たくさんキスされて優しく触れるのに……唇にキスはしてこなかった。
それはきっと、神楽さんの優しさ。
前髪の隙間から不意に重なる視線とか、大きくて骨張ってるけど綺麗な指先とか。
あの時のことを思い出すと身体中が熱くなって。
ドキドキと早くなる鼓動に、キュッと自分自身の肩を抱きしめた。