ホウセンカ
「愛茉ちゃん、本当はほとんど食ってなかっただろ。腹減ってんじゃねぇかなって思ってさ。それに、こういう所の方が気楽だし」
食べたって嘘ついたの、バレてたのね……。
もしかして、さっきの合コンで私があちこちに気を遣っていたの、分かってたのかな。だから疲れないかって訊いたの?
一緒に歩いている時もそうだったし、浅尾さんは人のことを良く見ている。マイペースで自由なようで、すごく心を配ってくれるし。
そのひとつひとつが嬉しいって思ってしまう私は、やっぱりチョロいのかな。
「ラーメン好きだから……ちょっと、嬉しかった」
顔を見るのが恥ずかしくて、少し俯き気味で言った。
「そんな可愛い言い方されると、連れて帰りたくなるんだけど」
思わず顔を上げる。目が合うと、浅尾さんが微笑んだ。
どうしよう。私、絶対に顔赤くなってる。
「まぁ今日のところは、ラーメンだけで我慢するけどさ。愛茉ちゃんが塩ラーメン好きって分かっただけで十分だし」
軽い人なのか、それとも本当は誠実な人なのか。私の中の浅尾さんの評価は、全然定まらない。
見た目は軽そう。これは確実。軽いというか、チャラい。クラブとかに入り浸っていそうな感じ。
でもさりげなく優しいし、変に距離を詰めてきたりはしない。
どんな人なのかは分からないけど、ただひとつだけ言えるのは、私は浅尾さんのことをもっと知りたいっていうこと。
おすすめされた塩ラーメンは、本当に美味しかった。今まで食べたラーメンの中で、1番かも。
それを伝えると、浅尾さんは嬉しそうな顔をしていた。
「自分の分は払う」
「気にしなくていいよ」
お会計で浅尾さんが全額払ってくれて、店を出た。そう言われても、当たり前のように奢られるのは気が引ける。
「気にするもん」
「自分で誘っといてラーメンをワリカンするなんて、ダセェことさせないでよ」
「でも……」
「いいんだよ。今日のところは、黙って奢られてくれる?そんなに気にするなら、今度はオレが奢ってもらうからさ」
浅尾さんの口から“今度”っていう単語が出てくるたびに、胸の奥が締めつけられる。
私は大人しく、お財布をバッグの中に入れた。
「……ありがとう。ご馳走様でした」
「家、どの辺?送るよ」
「い、いい、大丈夫。まだそんなに遅くないし、駅から近いし……」
「警戒するね。別に何もしねぇって」
「本当に大丈夫だから。帰り道は明るいし」
これ以上一緒にいると、なんだか危ない気がする。浅尾さんがというより、私のメンタルが。
食べたって嘘ついたの、バレてたのね……。
もしかして、さっきの合コンで私があちこちに気を遣っていたの、分かってたのかな。だから疲れないかって訊いたの?
一緒に歩いている時もそうだったし、浅尾さんは人のことを良く見ている。マイペースで自由なようで、すごく心を配ってくれるし。
そのひとつひとつが嬉しいって思ってしまう私は、やっぱりチョロいのかな。
「ラーメン好きだから……ちょっと、嬉しかった」
顔を見るのが恥ずかしくて、少し俯き気味で言った。
「そんな可愛い言い方されると、連れて帰りたくなるんだけど」
思わず顔を上げる。目が合うと、浅尾さんが微笑んだ。
どうしよう。私、絶対に顔赤くなってる。
「まぁ今日のところは、ラーメンだけで我慢するけどさ。愛茉ちゃんが塩ラーメン好きって分かっただけで十分だし」
軽い人なのか、それとも本当は誠実な人なのか。私の中の浅尾さんの評価は、全然定まらない。
見た目は軽そう。これは確実。軽いというか、チャラい。クラブとかに入り浸っていそうな感じ。
でもさりげなく優しいし、変に距離を詰めてきたりはしない。
どんな人なのかは分からないけど、ただひとつだけ言えるのは、私は浅尾さんのことをもっと知りたいっていうこと。
おすすめされた塩ラーメンは、本当に美味しかった。今まで食べたラーメンの中で、1番かも。
それを伝えると、浅尾さんは嬉しそうな顔をしていた。
「自分の分は払う」
「気にしなくていいよ」
お会計で浅尾さんが全額払ってくれて、店を出た。そう言われても、当たり前のように奢られるのは気が引ける。
「気にするもん」
「自分で誘っといてラーメンをワリカンするなんて、ダセェことさせないでよ」
「でも……」
「いいんだよ。今日のところは、黙って奢られてくれる?そんなに気にするなら、今度はオレが奢ってもらうからさ」
浅尾さんの口から“今度”っていう単語が出てくるたびに、胸の奥が締めつけられる。
私は大人しく、お財布をバッグの中に入れた。
「……ありがとう。ご馳走様でした」
「家、どの辺?送るよ」
「い、いい、大丈夫。まだそんなに遅くないし、駅から近いし……」
「警戒するね。別に何もしねぇって」
「本当に大丈夫だから。帰り道は明るいし」
これ以上一緒にいると、なんだか危ない気がする。浅尾さんがというより、私のメンタルが。