ホウセンカ
「子供の頃から自分の誕生日には興味なかったのよ、桔平は。家族でお祝いしても全然嬉しそうじゃなくて。でも今年は愛茉ちゃんがいるから、特別に感じるでしょうね。あの子、愛茉ちゃんのことが何よりも大切みたいだし」
「すーっごくラブラブですよ。もう常夏って感じ」
七海が横から囃し立てる。いつも言われていることだけど、楓お姉さんの前だと、なんだか気恥ずかしく感じた。
「母がね、年明け久しぶりに桔平と会って驚いたと言っていたわ。とっても穏やかで優しい顔になっていたからって。あなたのおかげね」
「い、いえ……。私なんか、桔平くんに甘えてばっかりだし……」
「愛茉ちゃん、自分に自信を持っていいのよ。男は女次第で、ガラっと変わるんだから」
桔平くんと同じグレーの瞳で、私を真っ直ぐ見つめる。圧倒されるような迫力があるのに、何故か威圧感はない。楓お姉さんは、とても優しくて明るいオーラに包まれた人だと思った。
「ずっと桔平を見てきた家族が思うのよ?穏やかになった、優しくなったって。そうやって良い方に変化したのは、愛茉ちゃんがいるから。それ以外、考えられる?」
「そ……そうなんでしょうか……」
「そうに決まってんじゃん。翔流だって同じこと言ってたもん。それに愛茉もどんどん綺麗になっていくし、良い関係なんだなって誰が見ても思うよ」
2人に言われると、そうなのかもって思えてくる。自信、持っていいのかな。
だけど自惚れてしまうと、落とし穴に嵌りそうで怖い気もするし。こんなこと桔平くんに言うと、また笑われるかな。
正直、順調にいきすぎているなぁとは思っている。付き合う前はウダウダと考えて苦しみはしたけれど、それ以降は大きな波もなく毎日穏やかに過ごしていて。相変わらず喧嘩もしない……というか、桔平くんのおかげで喧嘩にならないし。
でも少女漫画では、絶対に試練があるでしょう。それを乗り越えて絆が深まる……的な試練が。絆が深まるにしても苦しむのは嫌だし、避けられるなら避けたい。そもそも漫画みたいに乗り越えられるかどうか分からないし。そう考えると、ちょっと怖い。
楓お姉さんのように、自信に満ち溢れてキラキラしている人が羨ましいな。ああ、私ってやっぱり根暗でネガティブだ。
「桔平と愛茉ちゃんは“ベターハーフ”なのよ、きっと」
「ベターハーフ……ですか?」
「“魂の片割れ”よ。天国ではひとつだった人の魂が、この世に生れる時2つに分かれる。もとは同じだから、この世で出会うと、身も心もピッタリ合うって言われているの」
「えー、なんか素敵。2人でひとつってことかぁ」
意外とロマンチストな七海が目を輝かせる。
「すーっごくラブラブですよ。もう常夏って感じ」
七海が横から囃し立てる。いつも言われていることだけど、楓お姉さんの前だと、なんだか気恥ずかしく感じた。
「母がね、年明け久しぶりに桔平と会って驚いたと言っていたわ。とっても穏やかで優しい顔になっていたからって。あなたのおかげね」
「い、いえ……。私なんか、桔平くんに甘えてばっかりだし……」
「愛茉ちゃん、自分に自信を持っていいのよ。男は女次第で、ガラっと変わるんだから」
桔平くんと同じグレーの瞳で、私を真っ直ぐ見つめる。圧倒されるような迫力があるのに、何故か威圧感はない。楓お姉さんは、とても優しくて明るいオーラに包まれた人だと思った。
「ずっと桔平を見てきた家族が思うのよ?穏やかになった、優しくなったって。そうやって良い方に変化したのは、愛茉ちゃんがいるから。それ以外、考えられる?」
「そ……そうなんでしょうか……」
「そうに決まってんじゃん。翔流だって同じこと言ってたもん。それに愛茉もどんどん綺麗になっていくし、良い関係なんだなって誰が見ても思うよ」
2人に言われると、そうなのかもって思えてくる。自信、持っていいのかな。
だけど自惚れてしまうと、落とし穴に嵌りそうで怖い気もするし。こんなこと桔平くんに言うと、また笑われるかな。
正直、順調にいきすぎているなぁとは思っている。付き合う前はウダウダと考えて苦しみはしたけれど、それ以降は大きな波もなく毎日穏やかに過ごしていて。相変わらず喧嘩もしない……というか、桔平くんのおかげで喧嘩にならないし。
でも少女漫画では、絶対に試練があるでしょう。それを乗り越えて絆が深まる……的な試練が。絆が深まるにしても苦しむのは嫌だし、避けられるなら避けたい。そもそも漫画みたいに乗り越えられるかどうか分からないし。そう考えると、ちょっと怖い。
楓お姉さんのように、自信に満ち溢れてキラキラしている人が羨ましいな。ああ、私ってやっぱり根暗でネガティブだ。
「桔平と愛茉ちゃんは“ベターハーフ”なのよ、きっと」
「ベターハーフ……ですか?」
「“魂の片割れ”よ。天国ではひとつだった人の魂が、この世に生れる時2つに分かれる。もとは同じだから、この世で出会うと、身も心もピッタリ合うって言われているの」
「えー、なんか素敵。2人でひとつってことかぁ」
意外とロマンチストな七海が目を輝かせる。