ホウセンカ
「なんか小動物みたいだよな」
「小動物……」
「ポケットに入れて、ずっと連れて歩きたい感じ」
「それってペットじゃない」
「あぁ、いいな。オレのペット」
な、なんか桔平くんが言うと、妙に妖しいというか卑猥な響き。声が色っぽいせい?
でもペットだなんて嫌だな。ちゃんと女の子として見てほしい。
「ペットなんて嫌だよ。彼女がいい」
「え?」
桔平くんが、目を丸くして見下ろしてくる。……え?え!?私、何を口走った?
「それじゃあ、なる?オレの彼女に」
「ち、ちが、違うの。ペットじゃなくて、ちゃんと人として扱ってほしいって意味!彼女になりたいとかじゃないから!」
「そんな顔で必死に否定しても、説得力ねぇなぁ」
一気に汗が吹き出してくる。顔が熱い。
彼女がいい、だなんて。話の流れで思わず口にしてしまった。桔平くんが動物扱いするからよ。そう、決して彼女になりたいって意味ではないもん。
「ほ、本当に違うからね。動物扱いしないでってことだから」
「はいはい、今日はそういうことで勘弁してやるよ。これでも結構、気は長いんでね。愛茉がオレと一緒にいたくてたまらなくなるまで、ちゃーんと待つから」
相変わらず、桔平くんは余裕の表情。
私は既に、一緒にいたくてたまらなくなってるもん。本当は気づいているくせに、そういうこと言ってるのかな。私から言わせたいの?
もし今、マンガとかドラマみたいに少し強引に迫られたら、絶対に拒めない。本当はそうして欲しいって願望もある。それなら、私が仕方なく折れたって形にできるでしょ。
でも桔平くんは、きっとそんなことしないんだろうな。断言はできないけれど、何となくそう感じる。
私は、効きすぎるブレーキを自分で緩められない。まだ早いっていう声が、ずっと頭から離れないの。
桔平くんは、ずっと私だけを好きでいてくれる?よそ見なんて絶対にしない?
我ながら重たすぎることばかり考えてしまう。そしてその確証が得られないうちは、ずっとブレーキがかかりっぱなし。
でも一緒に過ごす時間が長くなるほど、桔平くんに惹かれていく。そんなこと最初から分かっていた。踏み出してしまったら、きっともう戻れない。
だからちゃんとブレーキをかけておかなきゃ。不安を抱えたまま引き返せなくなるのは、怖いから。
「あ、爬虫類館」
桔平くんが足を止めた。
「爬虫類、気持ち悪い?入ってもいい?」
まるで「このお菓子買っていい?」ってお母さんにねだる子供みたいな言い方で。爬虫類はそんなに好きではないけれど、ついつい頷いてしまった。
桔平くんは、爬虫類が好きなのかな。さっきもエボシカメレオンとか言ってたし。
「小動物……」
「ポケットに入れて、ずっと連れて歩きたい感じ」
「それってペットじゃない」
「あぁ、いいな。オレのペット」
な、なんか桔平くんが言うと、妙に妖しいというか卑猥な響き。声が色っぽいせい?
でもペットだなんて嫌だな。ちゃんと女の子として見てほしい。
「ペットなんて嫌だよ。彼女がいい」
「え?」
桔平くんが、目を丸くして見下ろしてくる。……え?え!?私、何を口走った?
「それじゃあ、なる?オレの彼女に」
「ち、ちが、違うの。ペットじゃなくて、ちゃんと人として扱ってほしいって意味!彼女になりたいとかじゃないから!」
「そんな顔で必死に否定しても、説得力ねぇなぁ」
一気に汗が吹き出してくる。顔が熱い。
彼女がいい、だなんて。話の流れで思わず口にしてしまった。桔平くんが動物扱いするからよ。そう、決して彼女になりたいって意味ではないもん。
「ほ、本当に違うからね。動物扱いしないでってことだから」
「はいはい、今日はそういうことで勘弁してやるよ。これでも結構、気は長いんでね。愛茉がオレと一緒にいたくてたまらなくなるまで、ちゃーんと待つから」
相変わらず、桔平くんは余裕の表情。
私は既に、一緒にいたくてたまらなくなってるもん。本当は気づいているくせに、そういうこと言ってるのかな。私から言わせたいの?
もし今、マンガとかドラマみたいに少し強引に迫られたら、絶対に拒めない。本当はそうして欲しいって願望もある。それなら、私が仕方なく折れたって形にできるでしょ。
でも桔平くんは、きっとそんなことしないんだろうな。断言はできないけれど、何となくそう感じる。
私は、効きすぎるブレーキを自分で緩められない。まだ早いっていう声が、ずっと頭から離れないの。
桔平くんは、ずっと私だけを好きでいてくれる?よそ見なんて絶対にしない?
我ながら重たすぎることばかり考えてしまう。そしてその確証が得られないうちは、ずっとブレーキがかかりっぱなし。
でも一緒に過ごす時間が長くなるほど、桔平くんに惹かれていく。そんなこと最初から分かっていた。踏み出してしまったら、きっともう戻れない。
だからちゃんとブレーキをかけておかなきゃ。不安を抱えたまま引き返せなくなるのは、怖いから。
「あ、爬虫類館」
桔平くんが足を止めた。
「爬虫類、気持ち悪い?入ってもいい?」
まるで「このお菓子買っていい?」ってお母さんにねだる子供みたいな言い方で。爬虫類はそんなに好きではないけれど、ついつい頷いてしまった。
桔平くんは、爬虫類が好きなのかな。さっきもエボシカメレオンとか言ってたし。