ホウセンカ
両生爬虫類館に入ると、エントランス近くにはアユとかヤマメとかオオサンショウウオが展示されていた。
その他にも水辺の生物、外国産の両生類、サバンナや砂漠、森林に生息している生物がたくさんいて、桔平くんはやっぱりカメレオンを熱心に眺めていた。パンダを観ている時とは、全然違う表情。
「桔平くんって、カメレオンが好きなの?」
「だって環境によって体の色を変えるって、すごくね?それにこいつら基本的に温厚だから、ペットにも最適。世話できねぇから飼わんけど」
「で、でもカメレオンって、主食は虫でしょ?」
「そうだな。コオロギとか、ゴキブリも食う」
単語を聞いただけで、悪寒が走る。虫は大の苦手なんだもん。蚊だって殺せない……。
「……全然ペットに最適じゃない」
「ゴキブリ嫌い?」
「だって地元では見たことないもん」
「あぁ、そっか。でもこっちには、わんさかいるからな」
上京する時、それがすごく心配で。ネットで対策を調べまくったんだよね。毒餌もあちこちセットしているし、配管のすき間もしっかり埋めて、エアコンのドレンホースには防虫キャップをつけている。
絶対に絶対に遭遇したくないんだもん。もし遭遇したら、もうパニックになっちゃう。
「ま、もしもの時はいつでも呼んでよ。すぐ駆けつけるから」
「桔平くんは、虫平気なの?Gでも……」
「全然平気。素手で掴める」
思わず、ぶるっと身震いしてしまった。
でも桔平くんが虫に強いのはありがたいかも。だってさすがにGの駆除はひとりで出来ない。遭遇したら家出するしかなくなる。
頼れる人がひとりでもいるっていうのは、すごく心強いことだよね。考えたら、東京には男の人の知り合いが誰もいないんだもん。桔平くんの存在は、そういう意味でも大きいのかもしれない。
「……本当に、すぐ来てくれる?」
遠慮気味に桔平くんを見上げる。
「当たり前だろ。好きな子に呼ばれりゃ、何をおいても行くわ」
そんなに真っ直ぐ見つめられたら、どんどん欲張りになってしまいそう。
桔平くんの気持ちを利用しているだけだとしても、できるだけノーリスクでそれをつなぎとめていたい。
こんなずるいことを考えているなんて知ったら、やっぱり嫌いになる?でも、いつもそんな計算ばっかりしてしまって。本当に自分が嫌になる。
一体どうしたら、綺麗な心を持てるんだろう。
その他にも水辺の生物、外国産の両生類、サバンナや砂漠、森林に生息している生物がたくさんいて、桔平くんはやっぱりカメレオンを熱心に眺めていた。パンダを観ている時とは、全然違う表情。
「桔平くんって、カメレオンが好きなの?」
「だって環境によって体の色を変えるって、すごくね?それにこいつら基本的に温厚だから、ペットにも最適。世話できねぇから飼わんけど」
「で、でもカメレオンって、主食は虫でしょ?」
「そうだな。コオロギとか、ゴキブリも食う」
単語を聞いただけで、悪寒が走る。虫は大の苦手なんだもん。蚊だって殺せない……。
「……全然ペットに最適じゃない」
「ゴキブリ嫌い?」
「だって地元では見たことないもん」
「あぁ、そっか。でもこっちには、わんさかいるからな」
上京する時、それがすごく心配で。ネットで対策を調べまくったんだよね。毒餌もあちこちセットしているし、配管のすき間もしっかり埋めて、エアコンのドレンホースには防虫キャップをつけている。
絶対に絶対に遭遇したくないんだもん。もし遭遇したら、もうパニックになっちゃう。
「ま、もしもの時はいつでも呼んでよ。すぐ駆けつけるから」
「桔平くんは、虫平気なの?Gでも……」
「全然平気。素手で掴める」
思わず、ぶるっと身震いしてしまった。
でも桔平くんが虫に強いのはありがたいかも。だってさすがにGの駆除はひとりで出来ない。遭遇したら家出するしかなくなる。
頼れる人がひとりでもいるっていうのは、すごく心強いことだよね。考えたら、東京には男の人の知り合いが誰もいないんだもん。桔平くんの存在は、そういう意味でも大きいのかもしれない。
「……本当に、すぐ来てくれる?」
遠慮気味に桔平くんを見上げる。
「当たり前だろ。好きな子に呼ばれりゃ、何をおいても行くわ」
そんなに真っ直ぐ見つめられたら、どんどん欲張りになってしまいそう。
桔平くんの気持ちを利用しているだけだとしても、できるだけノーリスクでそれをつなぎとめていたい。
こんなずるいことを考えているなんて知ったら、やっぱり嫌いになる?でも、いつもそんな計算ばっかりしてしまって。本当に自分が嫌になる。
一体どうしたら、綺麗な心を持てるんだろう。