溺甘純愛婚。 〜財閥社長とウブな令嬢のラグジュアリーな新婚生活。



  ***


 邸宅のある白金から【寺坂製茶株式会社】と社名が書かれた会社銘板を通り過ぎ入り口前で降りる。


「では奥様、私は待機しておりますのでお帰りの際はご連絡ください」

「えぇ。ありがとう、行ってくるわね」


 私はエントランスに入ると、受付で優生さんの名前を言う。だが、なぜか伝わらない。私が優生さんの妻ということが信じられないようだ。

 まだ入社したての社員さんなのだろうか……


「とにかく、私は夫に書類を届けに来ただけですので……繋いでいただけますか?」

「ですから――」


 ただ、書類を渡さないといけないから来たのだけど……それに優生さんが受付には伝えておくからと言っていたはずなのに、と思いスマホを取り出してLINEのページを開きワンコール鳴らそうと電話のマークを押そうとしたが後ろから名前を呼ばれた。

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