溺甘純愛婚。 〜財閥社長とウブな令嬢のラグジュアリーな新婚生活。
「……あ、優生さん」
「藍梨ちゃんがなかなか来ないから心配して迎えに来てしまった。……で、どうしたの? 少し揉めていたみたいだけど」
「そう、ですね。なかなか上手く伝わらなかったんですよね」
ふと彼女を見ると、優生さんに熱い視線を向けていてすぐに察する……彼のことが好きだから頑なに入れてくれなかったのね。
「藍梨ちゃんが来ることは直接、電話で受付に伝えていたのだが……」
優生さんはそう言うと、目だけ受付嬢の方を見ていた。
少しだけ怒ってる?それだと、この子が怒られてしまうかもしれないしそろそろ注目されてしまう。ここにいるのが、受付の子と社長の優生さんに妻の私。
ここだけ見たら、変な噂とかが出てしまうかもしれない。
「ゆ、優生さん……けど、セキュリティーは万全ですね。素敵な会社ですね」
そう言って優生さんに微笑むと彼も「そうだな」と言い、彼女らにお礼を言った。
「これからも仕事に励むように。君は妻を知らなかったみたいだね、改めて紹介しよう。私の妻の藍梨だ」
優生さんは私の腰を抱いて私を紹介する。だから私も名前と挨拶を言った。
「……では、藍梨。そろそろ」
「あ、はい」
優生さんとはここでバイバイかなと思っていたのに、彼に連れられてエレベーターに乗り一気に社長室に到着してしまった。