溺甘純愛婚。 〜財閥社長とウブな令嬢のラグジュアリーな新婚生活。
「坂下さん、ありがとうございました」
私は彼女に微笑み、お辞儀をして車へと向かおうと足を進める。すると後ろから「あの、奥様」と声を掛けられる。
「奥様に言うのは迷いますが……」
「何でしょう?」
「社長……いえ、優生様には奥様と結婚前、好き合っていた女性がいたのをご存知ですか?」
……え?
「申し訳ありません、知らなかったです」
「そうですか。じゃあ、あのことも知らないんですね」
「……あの、こと?」
「はい。……彼は言っていました。藤乃家のご令嬢と婚姻をし、御子を成したら、離婚をするからと」
え?離婚?