溺甘純愛婚。 〜財閥社長とウブな令嬢のラグジュアリーな新婚生活。



 離婚って、何?聞いてない……それに、バツが付くのを覚悟の上で私と結婚したっていうこと?いや、藤乃家の血縁が欲しかったのか。

 毎日のように営みをするのは、後継ぎだけが欲しいだけ?


「……待っていて欲しいと言ってくれました。だから」


 彼女の言葉で、全ては彼女のことなんだと察した。私は彼女にとっては憎い女で身分だけ持ってる女なのだと伝わってきた。


「そうですか、分かりました。ここで話をする内容ではないので今日のところは私は失礼させていただきます」

「……っはい、お気をつけてお帰りください」


 私はその言葉にお辞儀をすると今度こそ車に乗り込んだ。

「……優生さんの、想い人かぁ」


 車の中で私は、さっきまで蓋をしていたことを開放させる。

 私、知らなかった。だけどこの婚姻も、あの人のためであのプロポーズもあの人のため。
 今、愛し合う行為もあの人のため……そんなことを考えだしたら、どんどんマイナス思考になっていくのが嫌でも実感した。

 全部、ぜんぶ――ニセモノだったんだ。



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