溺甘純愛婚。 〜財閥社長とウブな令嬢のラグジュアリーな新婚生活。
「――ごめんね、麦茶しかない」
優也くんの運転で彼の家……マンションには十分ほどで到着した。
今は、彼の住んでいる最上階の部屋にいる。彼は、出張ばかりで自分の家は持っていないと聞いていたからちゃんとした部屋で少し驚く。
「ありがとう、いただきます」
「どうぞ、散らかっててごめんね。最近引っ越してきたばかりなんだよね。ずっと、マンスリーホテルで部屋を取ってたんだけど来月からちゃんと本社勤務なんだ」
「知らなかったです、すみません」
「いや、話してないからね。兄さんしか知らないよ。まぁここのことはまだ話していないから突撃されることはないから安心してね……じゃあ、話聞かせてくれる?」
「……は、い」
私は返事をしたものの何から話したほうがいいのか分からず下を向く。どこから話しをしようかと思ったが、きっと彼の想い人は優也くんも知っている可能性が高い。だから私はまず最初から話をし始めた。
まずは、優生さんの秘書だという坂下さんと話したことその人から聞いた話や子供ができたら離婚して結婚すると聞いたこと……そしてお腹の中に命が宿ったこと。全て隠さずに話をした。
「これが母子手帳で、これがエコー写真です」
「見せてくれて話をしてくれてありがとう」
「……いえ」
「そうか。事情は分かった。理解したよ……だけど、しばらくはここに泊まってほしい。これからのことは考えよう、まずマンションとか借りるには仕事を探さないといけないから、それまで」
確かにそう思ったので素直に頷く。すると優也くんはホッとした表情をする。