溺甘純愛婚。 〜財閥社長とウブな令嬢のラグジュアリーな新婚生活。
「すぐ帰る――いや、会談が終わり次第帰宅するから心当たりある場所を吉田に伝えてくれ」
「かしこまりました、優生様」
「なるべく早く帰るっ」
俺は電話を切ると、なんとなく聞こえていたのか北見は心配そうにこちらを見た。
「何かあったのか?」
「……藍梨が出て行ってしまった、指輪も置いて、離婚届もあったって」
「え? 優生何したの」
「してない、はず……」
してないはずだ。だけど無自覚でしたとかそういう場合もあるのだ。だが、全く心当たりがない。
それにどこに行ってしまったのかも分からない。一人、そんなことを考えていると部屋のドアがノックされる。そこから入ってきたのは吉田だった。