溺甘純愛婚。 〜財閥社長とウブな令嬢のラグジュアリーな新婚生活。
「……どうして」
「どうしてって、分かんねーの? 本当に毎日一緒に暮らしてたのか? ちゃんと会話をして、身体を気遣って、気持ちもちゃんと伝えてたのか?」
「……っ……」
「兄さんはちゃんと、藍ちゃんが本気で好きだと思ってた。だからあんたに譲ったんだよ。藤乃家から縁談話があった時……兄さんなら、幸せになると思ったから。それなのに傷ついてることすら気付かないで離婚の選択をさせた。俺ならそんなことしない」
あまり自分の気持ちを言わない温厚な優也が俯きながら言う。
「優也は……藍梨が好き、だったのか?」
「そうだよ、初めて会った時から好きだった。初恋だったんだ……だけど言うつもりはなかった。兄さんが、藍ちゃんが好きなんだと気付いたから。この前、幸せそうな彼女を見て安心したっていうのに……っ他に好きなやつがいるとかふざけんなよ」
「……は? 好きなやつってどういうこ――」
そう言うと優也は出て行ってしまった。