溺甘純愛婚。 〜財閥社長とウブな令嬢のラグジュアリーな新婚生活。



 俺は、彼が出て行ったドアを見つめて訳のわからないまま藍梨ちゃんからの手紙を開ける。
 中からは便箋が出てきたが、内容は簡易的に書かれていた。

 これまでのお礼が書いてあり指輪は返すということ……そして、『坂下さん』と幸せになってという内容だ。

 坂下って、確か最近秘書になったやつだよな?



「北見、藍梨ちゃんと坂下っていう秘書接点あったか?」

「え、坂下ですか? 三ヶ月前ほどに移動してきた坂下月葉(つきは)ですか? なかったはずですが……あ、でも一度だけあったかもしれません」


 北見が言うには以前お昼頃に書類を届けにきてくれた時に帰りの見送りをお願いしたらしい。


「すぐに坂下月葉を呼べ」

「畏まりました」


 すぐに迎えに行きたいが推測で行動するのではなくてちゃんと確かめよう。

 片付けてから迎えに行こう。それでちゃんと気持ちを伝えよう――藍梨ちゃんだけを愛してるって。



< 124 / 130 >

この作品をシェア

pagetop