【2025春・書籍化予定】溺甘純愛婚。 〜財閥社長とウブな令嬢のラグジュアリーな新婚生活。
優生さんは、製茶会社の社長様だけど、社長職に就くまでは茶師として働いていたらしい。 茶師というのは、日本茶のブレンダーのことを指していて良い茶葉を見極めて商品に合った味へとブレンドするお仕事で、優生さんは茶師十段――正式には茶審査技術十段を持っている優秀な方であり何より煎茶が好きなんだと話をしてくれた。
「そうなんですね」
「あぁ。出来たら、最初に藍梨ちゃんに飲んで欲しいって思ってるんだ」
「楽しみにしてますね」
「そういえば……時間大丈夫?」
「あっ! もう出なきゃです!」
「外に車待たせているから行こうか。そうだ、これを」
私にカードを優生さんは渡した。それはブラックカードと呼ばれるものだと思う……お父さんもお母さんに持たせていたから。
たしか、天然のダイヤモンドが埋め込まれているらしく別名ラグジュアリーカードと呼ばれているもの。
「これは、家族カードというもので藍梨ちゃんの名義で登録してあるものだから良かったら使って。というかぜひ使って」
「え、でも……優生さんのお金ですし」
「もう俺の奥さんなんだからいいんだよ。なんでも好きな服買っておいでよ、俺も見たいし。経済を回すためにも使うんだよ」
「け、経済って……」
「まぁ、経済は言い過ぎたけど。使わないなら一緒に行っちゃうよ」
えぇ?それはちょっと……彼はやっぱり生粋の御曹司だからか金銭感覚が違うんだよね。この前お買い物行った時も値段見ずに買っていたし、チラッと値札見たらゼロがいっぱい並んでいたもん。
「使います、使わせていただきます!」
そう言えば満足そうな表情を見せた。それを見て私はお財布にそのカードを入れて、優生さんと家から出た。