【2025春・書籍化予定】溺甘純愛婚。 〜財閥社長とウブな令嬢のラグジュアリーな新婚生活。
「あ、優生さん……?」
「うん。正解だよ、藍梨ちゃん」
彼は寺坂優生さんと言い、製茶業界ではトップを誇る製茶メーカーの会社の御曹司だ。
彫りが深く精悍な顔立ちで美しく黒の艶のある髪はエアリーなマッシュヘアが素敵な色気漂う私より七歳年上でお兄様のような存在の人で穂積兄様と仲良しだ。
「あ、すみません。気づかなくて。父に用があったんじゃないですか?」
「もう終わったよ。今日は茶殻を持ってきただけだよ」
あぁ、そうなのか。わざわざ挨拶にしにきてくれたのかな。それじゃあ……
「優生さんのところの茶殻はとてもよく染色ができるんです。綺麗な色に仕上がってくれて……そうだ、この前、染めたものあるんです。ちょっと待っていてください」
「え、藍梨ちゃんっ?」
彼が呼び声を背中に工房の中に入ると、染め終わり丁寧に畳んでいた一番綺麗なハンカチを持って外に出た。