溺甘純愛婚。 〜財閥社長とウブな令嬢のラグジュアリーな新婚生活。
9.初夜
式が無事終わり、私たちは前泊したスイートルームへと戻ってきた。間取りで言えば1LDKくらいの広さで二人だけだととても広い。
昨日は部屋を見て回るなんて緊張でできなかったから終わったら堪能しようと思っていたのに足がクタクタで怠くてソファに座り込む。
「藍梨ちゃん、大丈夫?」
「はぃ……いや、大丈夫じゃないです……もう、今までで一番疲れました」
「あはは、確かに疲れたよね。俺もクタクタだよ」
そうだよね。流石の優生さんでも今日は普通に疲れますよね……すごい方々が参加してくださったから挨拶も気を遣ったもんね。
「夜はルームサービスにしておいて良かったよね、こんなんじゃレストランまで行けそうにないし」
「はい、確かに行けそうじゃありませんねぇ」
ソファでゆったりとくつろぎながら、用意してあった煎茶とチョコレートを口に入れる。甘くて美味しい。
「……あ、これ寺坂製茶のお茶ですか?」
「そうだよ、よく分かったね。最近、取引を始めたんだ」
「毎日、優生さんのお茶ですよね。最初に飲ませていただいたのでよく覚えてます。これは最近販売された茶葉ではないですか?」
「当たり。すごいね」
「香りが爽やかですし、甘みと旨みと一緒に煎茶のいい香りが一緒に匂いがして落ち着きます……それにチョコレートと相性抜群ですし」
優生さんは社長になった代わりに、この茶葉を最後に茶師を辞めた。その最後の煎茶だから出来るまで頑張っていたのを思い出すと心がポカポカしてくる。本当に美味しい。