溺甘純愛婚。 〜財閥社長とウブな令嬢のラグジュアリーな新婚生活。


「……藍梨ちゃん」

「少し、頭冷やしてきます。ごめんなさい」


 こんなの最悪だ。
 きっと、優生さんも嫌になったに決まってる。こんな子どもみたいなヤキモチなんて引いちゃうと思い立ち上がると浴室の方へ駆け込もうと一歩を踏み出そうとした時すぐに腕を掴まれる。


「藍梨、俺は正直言って経験はある。だけど、それは大学時代の話で会社に入ったら忙しすぎて誰とも付き合ってない。だからほとんど、経験はないに近いよ」

「……っ……」

「それに、本当に触れたいと思ったのは藍梨ちゃんしかいない。俺は、この瞬間も触れたいしキスしたいし抱きたいって思ってる。嫌われたくないから言わなかっただけだから、藍梨ちゃんがいいならキスしたい。君の全てを知りたい」


 私は頷くと、優生さんは手を引き体を引き寄せると唇同士が重なった。軽い触れるようなキスだったのに、優生さんが頬に触れると角度を変えて唇を味わうようだった。音を立てて吸い付かれ息が漏れた。


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