溺甘純愛婚。 〜財閥社長とウブな令嬢のラグジュアリーな新婚生活。



「そうなんですね、わかりました」

「あぁ、あと申し訳ないのだけど……父からの希望で、琳派の品がいいと」

「琳派……あぁ、顔合わせで着たものでしょうか?」

「そう、それがいいと」


 琳派とは、金銀色の使い方が鮮やかで四季折々の美しい風景や風物が日本人の美意識を感じさせ、日本画特有の筆使いで描かれているものだ。
 黄色地の白い沢山の小花を染めた琳派草花の着物に赤地に赤と白、ピンクの牡丹の花が強い華やかさがある名古屋帯だった気がする。
 確か、旧華族である藤乃家が代々受け継いでいる代物で結婚して私も母から受け継いだものだ。


「父は、旧華族の末裔である藍梨ちゃん……藤乃の令嬢と婚姻をしたと見せつけたいんだろうと思う」

「わかっています。元々の婚姻に至った理由ですし気にしません。それに、あの着物可愛いからもう一度着たいなって思っていたので嬉しいです」

「ありがとう。また日程が決まれば、話しをするよ」


 それから、そのパーティーに参加する方々のことなどを優生さんに教えてもらったり和装に詳しいスタイリストさんなどに声をかけてくださり髪型の相談をしたり着物に合わせる小物を用意してくれたりして当日を迎えた。


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