溺甘純愛婚。 〜財閥社長とウブな令嬢のラグジュアリーな新婚生活。
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本格的に熱くなってきた八月。創立記念パーティーの前日である。
私は、優生さんとホテルの最上階にあるデラックススイートにいた。二面の大きな窓からは港が良く見えて絶景だ。トチの木の扉や布目下地の朱塗りカウンター、杉の網代天井などを施しているため家のような雰囲気も感じられるような空間になっている。
「藍梨ちゃん、もうすぐ花火が始まる時間だ」
「はい、楽しみです……!」
今日はたまたま海辺で行われる大規模な花火大会が行われる日だったからせっかくだからホテルに宿泊しようってことになった。現在、花火に合わせ、夕食と風呂は済ませていて今はテーブルにおつまみやカクテルを用意して花火が始まるのを待っている。
「花火は初めてなんだった?」
「はい。見に行く機会もなくて、あまり人混みに行くのをお父さんが嫌がっていたので」
「そうなんだ。じゃあ、楽しみだね……最上階から見る花火は良く見えるって有名だから。それに、お酒と何かをつまみながら見るのも楽しくていいだろう?」