断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!

1.断罪ですって? 認めないわ!

 ――妖艶な赤い瞳が揺れている。
 
「ひゃ、あぁッ、だめっ、あん、だめって言ってるのにっ」
「瞳に涙を滲ませながら快感に震える姿は悩ましいな」
「だめ、ちが……、あぁあっ」
「俺を惑わす君が悪い」
 ――違う、こんなはずじゃなかったのに。
 
“絶対絶対、私は悪くないんだから――……!”

 ◇◇◇

 それはこの国の第二王子、ニコラウス殿下と私ことフォシェル公爵家が長女、ビクトリア・フォシェルの婚姻が発表されるはずの夜会での出来事だった。
 
 婚約を結んだのは私が十歳の誕生日を迎えた日の午後で、そしてその年から九年がたってのこと。
 それがまさか、こんなことになるだなんて。

 
「ビクトリア・フォシェル! お前との婚約破棄を今ここで宣言する!」
“……は?”

 ニコラウス殿下のその琥珀色の瞳が意思を灯し、その言葉が本気であるのだと理解したが……それでも意味がわからず唖然とする。

「心当たりがないなんて言わせないぞ、お前はこんなにか弱いミルシュカにきつく当たり、暗殺まで企てたのだからな!」
“何を言っているの?”
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