断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
 すると今度は金のある男にブレア夫人は貢がせるようになり――そしてそんな環境にいたミルシュカも自然とその技を学んだのだろう。

 ――より金のある男を。その体を使って。

“王太子以上に彼女を満足させてくれる男はいないわ”

 そんな女にまんまと落とされたニコラウス殿下にはガッカリだが、そもそもそんな女にミルシュカがなったのも『稼ぎ方』を学んだのが母からだからだ。

 
「だから、貴女を雇ってあげると言っているの」
「雇う、ですか?」
「そうよ、もちろん仕事は私の遊び相手などではないわ。私の侍女としてエマから仕事を学びなさい」

 ハッキリそう告げると、ミルシュカのペリドットのような黄緑の瞳が揺れる。

“彼女はまだ今の私と同じたった十歳。働くことがどういうことかわからないのだろうけれど”


 ――未来の私が調べた情報では、幼い頃の彼女はたった一人に愛し愛される運命とやらに憧れていたのだという。

“まぁ、それがいつしかただの落とし文句になりニコラウス殿下を含め沢山の男がコロッと落とされた訳だけれど”

 でも、彼女の境遇を考えればその憧れはあながち間違いではないと思うから。

< 12 / 71 >

この作品をシェア

pagetop