断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!

4.私は変わってないわ、あなた達が変わったの

“……なんて、思っていた時もあったわね”

 あらから九年。
 私が理不尽に処刑された年になった、のだが。
 

「考え事かい? ビクトリア」
「えぇ。可愛らしい花が咲く時期になったと思いましたの」
「あぁ、王城の庭園は特に母がお気に入りでね」

 ふふ、と淑女らしく微笑むとにこりとした笑みが返ってくる。
 そのお相手は、幼い時に顔合わせをしやり直した今は『候補』で止まっている、元婚約者のニコラウス殿下その人だった。

“どうして殿下と二人きりでお茶をしているのかしら……!”

 いや、正確には二人きりではない。侍女として、そして淑女としても十分教育したミルシュカが私の後ろに控えてはいるが――

“まさか互いに全く興味を示さないだなんて!”

 ミルシュカには特に貞操観念と浮気の愚かさを徹底的に教育したお陰か、家の財産を貢ぎ若い男を買う母親へと見切りをつけたようで、ブレア男爵を説得し離縁させたのだと聞いた。
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