断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
 そして散財する本人がいなくなったことで財政難を乗り越えたブレア男爵家は持ち直し、またフォシェル公爵家の後ろ盾を得たことで華々しく社交界へデビューしたミルシュカは元々の美貌もあり求婚状が絶えないと聞くが――

“何故か私の侍女を辞めないのよね……!”

 正直に言おう。
 こんなはずではなかった。

「わ、私は悪くない、悪くない……わよね?」

 あまりの変貌ぶりに思わず口から本音が漏れるが、どうやら二人には聞こえなかったようで安心する。
 

 確かに処刑された私は自身の考えは改めないと決めた。
 悪いのは全て相手側だと、だからこそ浮気男は捨て、策略巡らす常識のない女には教育を施すのだと。
 私ではなく、相手を変えることを選んだのは間違ってはいない……はず。


「そうだ、薔薇の花をプレゼントしよう。ビクトリアの美貌には叶わないが」
「ありがとうございます」

 婚約こそ成立しなかったが、候補者となってしまった以上王家から呼ばれたら会わない訳にはいかず、だが靡かず捕まらない女というのはひたすら甘やかされて育てられた王子が意地になるのも仕方ないのかもしれない。
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