断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
 エマの教育が良かったのか、彼女の家庭環境が変わったからかはわからないが、思ったよりも従順。

「これならいつどこの令息の元へ嫁がせても問題はないわね」

 もちろんやり直す前のような行為もしていない彼女は、今や立派な淑女ともいえた。
 高位貴族の邸でマナーなどを叩き込まれた令嬢は、たとえ元の爵位が低くても付加価値がつく。
 もちろんそれはその高位貴族との繋がりが間接的に持てるからという意味も込められてはいるのだが。

“今のミルシュカならば、王子妃でも問題ないわ。……何故かやり直した今、本人にその意志がなさそうなのが問題なのだけれど”


 今からでもニコラウス殿下を篭絡してくれないかしら、なんて都合のいいことを考え、そして今の現状は私が『相手を変えた』から作られたもの。

 流石にそれは身勝手な願いすぎたか、と反省しつつ大きなため息を吐いた、その時だった。
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