断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
「未来の王妃として手本となるべき立場だというのに、醜い嫉妬心で罪を重ねるお前は我が国の恥だ! ロセアン国第二王子、ニコラウスの名において命ずる。処刑しろ!」
“処刑? この国唯一の公女、フォシェル公爵家の長女である私を?”


 ――たかだか第二王子である、貴方が?


 そんな時、混乱する会場の奥でひとつの人影に気付く。
 その赤い瞳がやたらと目についた。

“あれは第一王子のアンドレアス殿下――?”

 彼も私をじっと見ているようで、だが目が合っている訳ではなくて。

“何を見ているの?”

 第二王子の不快で理解し難い発言内容に困惑し、そして第一王子の不可思議な視線に動揺した私は、必ず身に付けるようにとお祖父様にいただいたネックレスを無意識にぎゅ、と握りしめる。
 
 強く握りしめたからだろうか、手のひらにチクリとした鋭い痛みが走った。


 こんなの絶対あり得ない、あり得ないのに。

“そもそも私という婚約者がいるのに浮気をしたのは貴方でしょう!”

 ――叫び声がして。
 ――痛みというよりも熱いという感覚が腹部を襲う。

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