断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
 それにそのニコラウス殿下の婚約者になるつもりが毛頭ない今、アンドレアス殿下との噂が出るのは私としてはむしろメリットだった。

 殿下としても、研究場所として使っている私室で話が聞けるのは好都合なのだろう。

“だから、何も起きない……はず、よね?”

 それでも、やり直す前の時間も含めて私にそういった経験はなく緊張していたのだが――……


「ほう、ではそのネックレス自体に何か衝撃が起きて時間が巻き戻ったというわけではないのだな!」
「そ、そうですわね……、傷が入るようなことすらなかったかと思います。むしろ私の手のひらが傷付いたくらいで」
「やはり持ち主への危害で時間が戻るということなのか。ならどうやって持ち主を判別したんだ? 着用時間なのか? というか魔道具でついた傷は治らなかったのか? なんでだ? もしかして魔法の発動にそういう縛りがあるのか?」
「…………。」

 
“本当に研究者なのね”

 閨事を懸念した自分が恥ずかしくなるくらいの反応に、私はただただ呆気に取られていた。
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