断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
 だが、遅かれ早かれ以前のミルシュカであれば出会うよう手を回しただろうし、それに私はどんな理由があれ自分を殺すような人との結婚なんて考えられない。

「やり直した今の私は、もうニコラウス殿下と婚姻を結ぶつもりはないのです」

「なるほど、ならばやはりネックレスが持ち主の望む最適な時期へと巻き戻したと考えるべきか。巻き戻りが起きた状況や、他に変わったことはなかったか? あと、目覚めた時の状況も知りたい。朝起きた時のような感じか? それとも場面が切り替わるような瞬間的な出来事なのだろうか」

 私の話を聞き再びペンを走らせたアンドレアス殿下は、この人こんなに喋るんだと思うほどの言葉を発しながら紙をびっしりと文字で埋め尽くす。
 チラリと視界に映るその表情は、まるで新しい玩具を貰った少年のようにうきうきとしていて。

 
“本当に子供みたいね”

 私より五歳上のアンドレアス殿下。
 公務などでお姿を拝見する時は誰よりも冷静に淡々と仕事をこなしているように見えていた。
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