断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!

7.公爵令嬢の価値は、決して研究だけじゃない

「ッ、も、申し訳ありません!」
「いや、構わない。……可愛いし」
「はい?」
「いや……」

 慌てて頭を下げようとした私をサッと片手で制した殿下は、しかし何かを思案しながらじっと眺める。

「――何が面白かったのか、聞いても?」

“うっ”

 まさかそんなことを尋ねられるとは思っておらず、一瞬安堵した私は再びぎしりと固まった。
 ここで何かいい返しが出来れば良かったのだが、王子である彼を笑ったことに対するいい回答なんてわからず、正直に答えるしかなくて。

「その、し、少年のようで……可愛らしいと思い、つい……」
「可愛らしい、か」
「はい……」

“終わった”

 身分も年齢も全てにおいて上の男性に言うべき言葉ではないことは確実。
 もしこれがプライドの高いニコラウス殿下ならば、やり直すことになったあの夜会と同じく斬り捨てられているかもしれない。

 流石にアンドレアス殿下までそのような愚行に及ぶとは思いたくはないが、何かしらの処罰は覚悟しなくてはならないかも、と思った時だった。


「それは、好感があるということで構わないか?」
「……、え、こ、好感……?」
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