断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
「何がつまりなんでしょうか」
「ニコではなく、俺と婚約するのはどうだ」

“アンドレアス殿下と婚約?”

 今度は何を言い出すんだ、と思わず半眼になった私だったのだが。

「ニコとは結婚したくないのだろう? だが第二王子の婚約者候補である今、他の誰も婚約は申込めない。同じ王子である俺以外は」

“それは確かにそうなのだけれど”

 ニコラウス殿下との婚約を断るには、他との婚約を進めるしかない。
 そしてニコラウス殿下を押し退けて婚約を申込めるならアンドレアス殿下しかいないだろう。


「まぁ、試しに今度出掛けないか」
「えっ、アンドレアス殿下が外に出られるんですか?」
「俺だって外に出ることくらいあるんだがね」

 ほぼ研究室も兼ねた私室に籠りきりと聞いていたせいで余りにも失礼な一言が飛び出し焦るが、アンドレアス殿下は少し唇を尖らせるだけで不敬には問われなかった。

 
 
『改めて誘いの手紙を送ろう』そう口にしたアンドレアス殿下は、その言葉通りに本当に正当な手順でデートに誘ってくれた。

“手紙に書かれていた、君の話を君の声でもっと聞きたいってのは多分魔道具についてなんだろうけど”
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